【解説動画】発がんリスクの低下:ビタミンCによるニトロソアミン生成抑制 ~ パート1

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●発がん物質ニトロソアミンの生成抑制作用
ビタミンC(化学的本体はL-アスコルビン酸ですが、ここではビタミンCと呼びます)の作用の一つに「ニトロソアミン生成抑制作用」があります。このニトロソアミンは、代表的な発がん物質として知られており、食品中や大気中などの自然界由来のほかにヒト体内でも生成されます。その体内におけるニトロソアミンの生成をビタミンCは抑制するので、この物質による発がんのリスクを下げることが期待できます。ニトロソアミンの生成がどのように起こり、ビタミンCがどのような役割を果たしているのかについて解説します。
我々は、胃におけるビタミンC動態に関して、動物実験ですが、ビタミンCが食物→血液→胃粘膜→胃液と胃・血液循環するしくみが存在する事を証明しました。ビタミンC合成不能なヒトにおいても同様な制御系は存在すると考えられ、ニトロソアミンの生成抑制が食事にかかわらずふだんの時間(食間)にも行われていると推測できます。このことについても解説します。

解説者: 
世界初、安定・持続型ビタミンCの発明者 薬学博士 武藤徳男

パート1 ニトロソアミンについて

ニトロソアミンの生成がどのように起こり、ビタミンCがどのような役割を果たしているのかについて解説します。

動画の内容:文言が一部異なることがあります。

Q:ニトロソアミンとはどのような物質で、体内でどのように生成されるのかを説明してください。

(図①参照)
肉や魚などのタンパク質を食べると、体内で消化される過程でアミン(※1) という物質ができます。一方、野菜は多量の硝酸塩(口腔細菌によって亜硝酸塩に還元される)を含み、またハム・ソーセージや練り製品などの食肉・魚肉製品には食品添加物としての亜硝酸ナトリウムが加えられているので、容易に亜硝酸(塩)ができます。特に、第二級アミンと亜硝酸とが反応すると、ニトロソアミンという化合物が生成します。アミンの種類に応じて多種類のニトロソアミンが存在しますが、それらが強力な発がん物質になり、肝臓、腎臓、消化器官、肺臓などで実験的な発がんが証明されています。このニトロソアミンの生成は酸性条件下(至適pH 3.0~3.4)で促進されますので、特に胃液の中でよく起こると考えられます。すなわち、肉や野菜などの食物を摂取している限り、胃液中でニトロソアミン類が生成されることは化学反応上起こりうるのです。

※1 アミンとは、アンモニアNH3分子中の水素原子の1~3個が炭化水素基または芳香族基で置換した化合物で、RNH2(第一級アミン)、R2NH(第二級アミン)、およびR3N(第三級アミン)がある。第二級アミンの代表例は、図中にあるジメチルアミンです。

図1 生体内におけるニトロソアミン生成とアスコルビン酸
図①
Q:ニトロソアミンが発がん物質であるとは、どういうことですか。

(図②参照)
生成したニトロソアミン類はそのままの形では発がん性はないのですが、体内で薬物代謝を受ける過程(「解毒」という過程)で活性型に変換されて(代謝的活性化 ※2 )これがDNA上の塩基(4つの塩基のうち、特にグアニン)と結合してDNA情報の変異を起こし、最終的に細胞のがん化を起こすことが証明されています。発がんの原因は主に放射線やウイルスのほかに化学物質が三大原因になりますが、化学物質についてはニトロソアミン類と同様に生体内での薬物代謝を受けて初めて変異原性を示す化合物になる例が結構多いのです。
この様にして活性化された化合物が細胞内の核酸やタンパク質に結合すると、そのような損傷が蓄積して細胞の増殖等に異常が生じ、がん化した細胞に変化することがあるのです。ニトロソアミン類は各種動物に対して発がん性を示すので、ヒトに対しても同様の発がん性があるとされる化合物なのです。 

※2 代謝的活性化:ニトロソアミンの中で最も簡単な構造であるジメチルニトロソアミンを例にすると、体内の薬物代謝系の酵素によって水酸化、脱N-メチル化反応を受けて、活性メチル基が生成する。この活性メチル基はDNA中の塩基であるグアニンと結合して、DNAの遺伝情報に誤りを起こす。この結果、代謝の盛んな肝臓や生成量の多い消化器官などでがん化を引き起こす。

図2 生体内におけるニトロソアミン生成とアスコルビン酸
図②